統一教会や創価学会等の新興宗教団体以外にも、鹿児島大学周辺では、伝統的キリスト教を自称しているが、実際は原理主義的でカルト的特徴をもつキリスト教会の勧誘活動がなされています。
原理主義的なキリスト教会とは、より正確にはファンダメンタリズム（「原理主義」という日本語は本来はこれの訳語）といい、キリスト教の正典である聖書には科学的、歴史的にも一切誤りがあってはならないという考えを奉じ、歴史的な文脈を無視した聖書解釈を行う立場をとっている教会です。そのような教会では、自分たちの立場を絶対視し、他の人々を悪魔や悪霊に憑かれているなどというレッテルを貼り、信者が教会に逆らうことができないようにして生活をコントロールしようとするカルト団体の特徴さえ持つ教会であるケースがよく見られます。また、彼らは生物進化を否定するなど、歴史的な学問の積み重ねを軽視したり攻撃するような考え方に囚われているため、そのような教会に関わってしまうと、ファンダメンタリズムに基づいた枠組みでしか物事を考えられなくなってしまい、自由な学問を行う場としての大学での生活に支障を生じさせる危険があります。
クリスマスシーズンに、鹿児島大学の正門前でクリスマス礼拝のチラシが配られていることがありますが、そのような勧誘活動を行っているのは、熱狂的な信仰を持った原理主義的、カルト的な特徴を持った教会である可能性が高いです。また、学内の共通教育棟1号館の壁に、大学での宗教団体への勧誘活動は禁止されているにもかかわらずカルト的な特徴を持った原理主義的教会のチラシが貼られていたことも確認しています。
・鹿児島市内にある原理主義的単立教会（どこの教派にも所属していない教会）から脱会した女性の話によると、日曜日の礼拝に欠席、遅刻をすると、牧師に呼び出されて叱られた上泣かされた。
・牧師一家の権限が他の信徒に比べて高く、彼らの指示に逆らえないような組織になっており、礼拝内でさらに権威付けの強化を図る説教がなされている。
・収入の十分の一の献金を要求し、献金をしないと悪霊がついているなどという脅迫的説教がなされている。
・大きな教会堂が与えられるように祈らされた。当然、教会の敷地の購入や建築費用は信徒の献金から捻出される。したがって、多額の献金の強要と結びついている可能性がある。
・（特に青年）信者の交友関係や性生活をコントロールしようとする。「純潔を守ろう」などという張り紙が教会内にある。皮肉にも彼らが「異端」であると糾弾している統一教会などのカルト団体に極めて近い特徴である。
このように、責任能力のある大人の生活に介入して交際に制限を加えたり、金銭を支出しないと非難するような団体は、原理主義のみならずカルトだといってよいと思います。
原理主義的教会にはさまざまな特徴がありますが、ある教会が原理主義的傾向をもっているかを見分けることができる簡単な点があります。それは、礼拝に「新改訳聖書」を使っているかどうかです。新改訳聖書は、ファンダメンタリズムに基づいた人々が翻訳した日本語訳聖書です。原理主義的傾向のある教会以外で新改訳聖書を使用している教会はほぼゼロといっていいほど存在しません。
ただし、注意しておきたいのは、新改訳聖書を使っていないからといって、必ずしも原理主義的ではないというわけではないということです。他の日本語訳聖書を使っている教会にも、原理主義的特徴をもった教会は存在するからです。